ナチュラルビジョン普及促進協議会と(独)情報通信研究機構( NICT )委託研究「マルチスペクトル映像収集・伝送技術の研究開発」参加企業等( NTT データ、オリンパス、東京工業大学、千葉大学)は、デジタルカメラやビデオカメラによって撮影された実物の色を忠実に再現するために必要なメタデータのフォーマット(ナチュラルビジョンマルチスペクトル画像データフォーマット XML スキーマ: NVXML )を策定し、 CEATEC JAPAN 2008 での展示に合わせてその仕様を公開します。
この仕様は、 NICT の委託研究 「マルチスペクトル映像収集・伝送技術の研究開発」 に基づいて策定されたものです。
【主な特長】
このメタデータに埋め込まれた撮影に用いた機器や被写体を照明する光源の特性データを映像データとともに用いることによって、あたかも実物が目の前にあるように映像を再現できるようになります。このフォーマットを用いたシステムは、工業デザインや遠隔医療のためのテレビ会議システム、美術品や文化遺産のデジタルアーカイブなどへの応用につながります。また、異なる照明光源の下に物体を置いたときに見える色のシミュレーションなど、映像の加工・編集にも有効です。
なお、このメタデータは XML ( eXtended Markup Language )で記述されているため汎用性が高く、インターネットを用いた様々なシステムへ容易に適用できます。
【概要】
今回公開する XML のメタデータフォーマットは独立に規定できる様々な画像データフォーマットに埋め込むことができます。メタデータ構造は、画像情報、入力情報、色変換情報の3つに分かれており下記のような情報を持っています。これらはすべて、マルチスペクトル画像に対応しています。
●画像情報
画像生成に関する情報
画像のデータ構造に関する情報 など
●入力情報
画像入力装置の識別情報
入力装置キャラクタライゼーションに関する情報
画像データの各バンドに関する情報
画像撮影照明スペクトルに関する情報
被写体の分光特性に関する情報 など
●色変換情報
各種色空間への色変換に関する情報
レンダリング照明スペクトルに関する情報
等色関数に関する情報 など
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ナチュラルビジョン普及促進協議会では、今後、このフォーマットを忠実な色再現が求められる映像システムへ利用する活動を推進していきます。
【 NVXML 仕様策定の背景】
映像の色は、カメラやディスプレイなどの機器によって変わるほか、物体を照明する光源の種類によっても変化してしまうため、商品や美術品などを忠実な色で再現することは困難です。また映像通信システムを遠隔医療に応用する場合にも、患者の顔色や皮膚の色が正しく伝わらないといった問題がありました。このような課題に対して、 NICT によるナチュラルビジョンの研究開発プロジェクトでは、従来の RGB 三原色にとらわれない、光のスペクトルに基づく色再現の仕組みを開発しました。同様に、光のスペクトルを色再現に応用する仕組みは海外でも研究されていますが、様々なシステムで画像データを交換する共通のデータ形式が存在しませんでした。そこで、ナチュラルビジョンの研究開発プロジェクトでは、スペクトルに基づく色再現のための映像データフォーマット(ナチュラルビジョンフォーマット)の開発を進めてきました。今回、ナチュラルビジョンフォーマットをより実用的なシステムに導入できるよう、ナチュラルビジョン普及促進協議会を中心に、汎用性の高い XML 形式のメタデータとして仕様を取りまとめたものです。今後、ナチュラルビジョン普及促進協議会等では、この仕様を国際的な標準化機関にも提案していくことを予定しています。
図 NVXML を応用した高忠実映像配信システムの例
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